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ミュージカル「ダブル・トラブル」公式

NEWS

2022.07.29

笑いの中から俳優の生き様が見えてくる!~ゲネプロレポート~

ブロードウェイで大活躍する俳優兄弟、ボブ&ジム・ウォルトンが自分たちの主演作として2001年に作り上げ、2021年に日本上陸を果たしたミュージカル『ダブル・トラブル』。その直後にパラリンピック開会式を手がけて全国区となった演出家、ウォーリー木下による創意工夫に満ちた日本初演の舞台は大きな評判を呼び、1年強という短いスパンで再演される運びとなった。都内3劇場で連続上演される「2022夏」のうち、まずはシーズンAが有楽町・オルタナティブシアターにて開幕。7月28日に浜中文一&相葉裕樹、29日には浜中&日野真一郎のコンビが初日を迎え、直前に行われたゲネプロでヴェールを脱いだ。

本作の最大の特徴は、たった二人の俳優が、いくつもの役を目まぐるしく演じ分けながらふんだんに歌い踊ること。主人公はジミー(相葉/日野)とボビー(浜中/横山賀三)のマーティン兄弟で、ブロードウェイで作詞作曲家コンビとして活躍する二人は、ミュージカル映画の音楽を書く依頼を受けてハリウッドにやってくる。映画会社から仕事場として与えられたスタジオに、会社の社長、その秘書、映画監督、音響エンジニア、アシスタント、エージェント、出演予定の女優……と関係者が次々現れるわけだが、その風変わりなキャラクターたちを全員ジミー役とボビー役の俳優が演じるのだ。二人の俳優は、“老若男女への七変化”とともに、役から役への急すぎる切り替え、タップやピアノ演奏と言った難題の数々に果敢に挑む姿を通じて、“俳優としての生き様”をも見せることとなる。

浜中には、まさに芸達者という言葉がぴったり。声色を自在に使い分けながら五つの役をそれぞれ濃密に造形し、自身の役が自身の役のモノマネに苦戦する、という難関すらサラリと乗り越えて見せた。相葉はスーツもベレー帽も燕尾服も、ドレスさえも全く違和感なくよく似合う。あらゆる衣裳をスタイリッシュに着こなしながら朗々と歌い、ダイナミックに踊る様が逆におかしみを醸して魅力的だ。日野はジミー役で持ち前の気品と憂いを漂わせる一方、ほかの4役(+アルファ)では従来のイメージを覆す弾けっぷりを見せ、新境地を大幅に開拓。また浜中ボビーが、相葉ジミーが相手だと“兄と対等な関係の弟”に、日野ジミーとだと“兄の庇護下にある弟”に見えてくるのも面白い。相葉ジミーと日野ジミーの見え方もまた、横山ボビーが相手だと大きく変わってくることだろう。

一人違うだけでこれだけ変わることから分かるように、俳優の生き様まで見せる作品だけあって、二人ともが違えば全く別物とも言える舞台に仕上がるのが『ダブル・トラブル』。一組観ればほかのキャストも気になってくること請け合いの、“コンプリート欲”をそそる一作だ。“推し”のあらゆる姿が見られるという意味で、ファンにとってたまらなく嬉しいミュージカルであることは間違いないが、ぜひ様々なキャストで観て、大いに笑いながらそれぞれの生き様を感じてみてほしい。

テキスト:町田麻子


【Season A】
上演中~8月14日(日) オルタナティブシアター
浜中文一・相葉裕樹・日野真一郎(LE VELVETS)・横山賀三

【Season B】
8月16日(火)~8月30日(火) 有楽町よみうりホール
林翔太・寺西拓人

【Season C】
9月5日(月)~9月13日(火) 自由劇場
林翔太・寺西拓人/原田優一・太田基裕



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